ワクチンと社会化期

混合ワクチンについて

日本では混合ワクチンを毎年接種することがあたりまえのようになっています。
なぜならば、混合ワクチンを毎年接種しないと病気に感染して大変な事になるから・・・そう獣医から聞かされているし、まわりのみなさんもそうしているから・・・・
でもはたして本当にこの毎年接種は必要なのでしょうか?
それに、混合ワクチンもいくつもあって、勧められるままに9種や11種もの混合ワクチンを子犬から老犬まで接種しているというのが日本の習慣です。
これって犬に負担はないのだろうか?
本当にそんなにたくさんの混合数が必要?
そうした疑問をお持ちならぜひ読んで頂きたいと思います。
ちょっと長くなります。完読20分 2010年3月執筆2017年3月加筆

混合ワクチンとはなんでしょう?

・いくつかのウイルスと細菌による感染症から犬を守るための予防接種として、狂犬病予防ワクチンと混合ワクチンの2種類があります。

・狂犬病予防ワクチンは狂犬病予防法に基づき1年に一度の接種が義務付けられていますが、混合ワクチンの接種は任意となっています。

・混合ワクチンには3~11種類の混合数が選べます。
ベースになるのが致死率の高い感染症や広く流行し被害を拡大する伝染病に対するワクチンで、これをコアワクチンといいます。
犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス(CAV)、犬パルボウイルス2型(CPV-2)に対するワクチンがコアワクチンと呼ばれます。
日本では3種混合ワクチンを保有する獣医が少なく、5種混合ワクチンがそれにあたります。
コアワクチンに対して、飼育環境や伝染病の流行状況によって接種することが有効なものをノンコアワクチンといいます。
パラインフルエンザウイルス・コロナウイルス・レプトスピラ各型に対するワクチンがノンコアワクチンです。
3種以上の混合ワクチンに含まれていて、メーカーによってその複合は異なりますが11種まであります。

・製造メーカーがいくつかあります。
京都微研 品名キャナイ
日本国内で唯一犬用・猫用の混合ワクチンを研究開発、製造、販売まで一貫して行っているメーカー
キャナイン-レプト5はレプトスピラに特化したワクチン
※2017年現在、レプトスピラ単体のワクチンの販売は行われておらず、動物病院での取り扱いもありません。

共立製薬 品名キャニバック
キャニバック5は国内流行株を採用し、犬ワクチンでは国内で初めて接種量を0.5mLに減量するなど、有効性と利便性を高めており、副反応の発生要因として重要視されているウシ由来タンパク質等の異種動物タンパク質を低減させるなど、安全面にも配慮した犬用5種混合注射ワクチン
キャニバックKC-3は注射器を用いて、両方の鼻に経鼻投与する3種混合ワクチン

インターベット(旧三共製薬)品名ノビバック
ノビバック PUPPY DP(ジステンパー・犬パルボウイルス感染症混合性ワクチン)というパピー用に特化したワクチンを持つメーカー
ノビバック LEPTO(犬レプトスピラ病不活化ワクチン)はレプトスピラに特化したワクチン

ゼノアック(輸入元メリアル・ジャパン)品名ユーリカン
子犬への2回接種プログラム 妊娠犬にも使用可能
ユーリカン5はハイタイターローパッセージワクチン

ゾエティスジャパン(旧ファイザー製薬) 品名バンガード
バンガードプラスはハイタイターローバッセージワクチン

副作用情報データベース
品名を入れて検索すると薬の基本情報と過去の副反応のデータを見る事ができますので参考にしてみてください
例 ノビバック PUPPY
動物薬品検査所
様々な薬の検査機関です。

動物薬品等副作用データベース
副作用に関わる情報です
・製造方法は生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
生ワクチンは、特定のウイルスを毒性化したものを使い抗体価も効力を示す期間も長いのです。
生ワクチンは病原体そのものなので、弱毒化しているとはいえ個体によっては負担となり、その病気に罹ってしまう危険がありますし副反応もでます。
一方、不活化ワクチンとは、化学処理などで死んだウイルスや細菌などを使用したものです。
これらは抗体価は低く、効力も短く3ヶ月程度しか持たないワクチンもあります。
また、アジュバント(免疫増強剤)を添加するため、それによるアレルギーや副反応の報告が多くあります。長期の使用によってはより厳しい病気の発症源になることもあります。
5種以上に含まれるレプトスピラ各型は不活性ワクチンであり、接種後数ヶ月しか持ちません。
通常の生活では不要です。
ただし野ネズミが這い回るような劣悪な環境やキャンプやハイキングなど野外で犬をオフリードで活動させる場合は接種も必要ですし、効果のある時期が過ぎていれば単体での接種も検討すべきです。

・ワクチン接種プログラム(ワクチネーション)
子犬の時は生後60日で1回、1ヶ月後に2回目、さらに1ヶ月後に3回目
成犬は1年毎に1回というのが以前のワクチネーションでした。
しかし、2015年、世界的な獣医師機関世界小動物獣医師会による学術的エビデンスによりそれが好ましくないと位置づけられました。
新しい基準は
子犬の時は生後60日で1回、1ヶ月後に2回目、さらに1ヶ月後に3回目(これは同じだが)
もしくは
ハイタイターローパセージワクチン(母乳に含まれ受動免疫を破って効果を発揮するワクチン)の場合
生後28日〜112日で1回、3週〜4週後に2回目、必要ならさらに3週〜4週後に3回目(抗体価検査による必要性の有無)
※可能な限り98日〜112日(14〜16 週齢)で3回目のコアワクチン接種を行うよう推奨している。
この新しい考え方を明確に示しているのがインターペットのノビバックです。
子犬のワクチネーションは生活環境や体調によって異なることを前提に4つの例をあげていますので参考にされると良いです。

成犬は1年に1回は子犬からの翌年のみで、以降は3年以上あけての接種(抗体価検査による必要性の有無)
となりました。
私のおすすめについては詳しく本文でお伝えして参ります。

本文

まず結論づけからまいります。
「混合ワクチンは完璧ではないが必要」
です。
この根拠については未知のものもあり完全なる結論ではありませんが、私自身が調べてきたことや経験に基づくもの、数々の文献によるものです。
特に「WSAVA」世界小動物獣医師会が発行する「犬と猫のワクチネーションガイドライン」は極めて有用で信頼のおける文献と考えます。
これに基づき、アレルギー検査等で知られるスペクトラムラボジャパンもエビデンスに基づいたワクチネーションの提案と、院内で判定できる抗体検査キットの製造販売も行っています。
犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルスの3種のコアワクチンについては、十分な抗体があれば、追加の接種は不要であり、ワクチン接種の時期を判断するための抗体検査が有用であるとしています。
犬用ワクチチェックは、3種のコアワクチンの抗体を判定する、国内初の検査キットで、すでに米国、カナダ、オーストラリア、EUをはじめ世界30か国以上での使用実績があります。血液による検査と獣医師の判定が必要になりますので、動物病院のみで検査を受けることができます。
犬用ワクチチェックによる検査は、抗体がなくなった際のウイルス感染や副作用のリスクを軽減すだけではなく、子犬の時にワクチンに潜在的に反応しないノンレスポンダーの見極めにも有益です。
しかしながら、個体差や環境差によって感染症に対する感受性は大きく変わるため、例えばイギリスではこうだがアメリカのとある州ではこうだ、しかし日本ではこうだという具合に実施されているワクチネーション(ワクチンの接種頻度)は断定的ではないことをはじめにお伝えしておきます。

インターネットで色々と検索するとこうしたことが明確に表示されていないため、乱雑な情報がかえって見る人の判断を誤った方向に導く場合があります。
※ここでは各国の情報は混乱を招くのであえて提示しません。
大切なのは病気になったらどうしようではなく、病気にならないためにはどうすれば良いかです。
大事なのはあなたとあなたの犬の生活圏と犬の健康状態です。
ワクチンは病気にならないためのツールにすぎないということ。しかし上手に使えば、かなり信頼性の高いツールであり、自分の犬の状態も知らないで勧められるがままに接種すると危険なツールにもなりえるということを知っておいてください。

では続けます
ワクチンを接種していても感染する子は感染します。しかしそれが発症するかどうかはその子の体調や生活状態によって異なります。
混合ワクチンを接種することでそのウイルスや細菌にたいする抗体がつきますが、その力価(生物学における濃度(活性)の測定法の1つ)は個体差があります。また抗体の持続性についてもまちまちです。
古い体質の製薬会社やそこから情報を得ている獣医では抗体は1年で切れるから毎年接種が必要といいますが、そのような根拠を示す学術的なデータは存在しません。
もちろんどの製薬会社もそのようなデータを示していませんし謳ってもいません。(もし根拠もないのに示せば問題です)
したがって、混合ワクチンを接種すれば絶対に安全ということはなく、毎年接種が必須というわけでもありません。
また、接種しても抗体価が低い個体(ローレスポンダー)というのは10%ほどいますが、だからとしって免疫力がないわけではありません。
むしろ犬自身の持つ免疫力が強いから弱毒化したワクチンを跳ね返してしまうためワクチンの効果がないともいえるのです。
ですから抗体がつきにくいからと嘆くよりも、うちの子は持って生まれた強い免疫力のある子なんだと思って、自然な食事やストレスを減らした生活を心がければワクチンの必要もないのです。
※ローレスポンダーの犬はワクチンによって獲得する免疫以外の免疫機能が強く働いているので、ワクチン接種によりウイルスに備えなくても対応できる免疫力がある。つまりその病気には罹らないということです。
しかしながら、一般的には混合ワクチンにはデメリットよりもメリットのほうが多いので必要なものではあるのです。
この前提をベースに次にまいります。

接種する種類、タイミングや回数はどうすればいいのか?

子犬は?成犬は?老犬は?都会では?田舎では?チワワは?レトリバーは?ペットショップの子は?シリアスブリーダーの子は?繁殖屋の犬は?
先のワクチンとは何かでも触れているように、これは必ずこれですというものはありません。
個体差、環境、健康状態、親犬の状態などを鑑みてきめていかなければなりません。
世界小動物獣医師会が発行する「犬と猫のワクチネーションガイドライン」を元に話をすすめます。

子犬の場合

母親由来の移行抗体(maternally derived antibody, MDA)は 8 〜 12 週齢までに能動免疫が可能(混合ワクチンの効力を発揮できる)となるレベルに減弱する。
移行抗体の少ない子犬は、若齢期に感染症にかかりやすいが(反面混合ワクチンの効力がある)、なかには12 週齢以降までワクチン接種に応答できないほどの高い抗体価の移行抗体を保持している子犬もいる。
したがって、初年度接種として1回のみ接種するという方針では、すべての状況に対応することは不可能でというのがベースになってきます。

8〜9週齢(2ヶ月齢)で1回目の接種を行い、その後、3〜 4週後(3ヶ月齢)に2回目の接種、14 〜 16 週齢(4ヶ月齢)で3回目の 接種を行うことを世界小動物医師会は推奨していますし、これまでも日本ではそうしてきました。
しかしながら3回のワクチン接種が終わってから外に出していては、その犬が生涯を通して必要となる社会化が身に付かず、恐がりで様々なストレスをうけながら一生を過ごさなくてはなりません。
そうなると食べるもの一つとっても、あれがだめこれがダメ・・・犬が怖い、物音に驚き、動くものに反応、インターフォンがなれば何分も何十分も鳴き続けている・・・一緒に暮らす人間だけでなく近隣や社会へのダメージは計り知れず、結局は犬も含めた人間の社会性が小さなものになりかねません。
おそらく多くの方が2ヶ月齢頃に子犬を受け取ることになると思います。受け取る際に1回目のワクチンを接種した状態で受け取るのが習わしになっています。
それは2ヶ月齢頃というのはちょうど移行抗体の抗体価が下がってきて混合ワクチンが効果を示す時期だからです。
しかしながら一般的なワクチンだと移行抗体価が10倍程度まで下がっていないと効果がないとされており、中には混合ワクチンを跳ね返す程の個体もいるわけです。
2ヶ月齢でワクチンを接種して効果のでる個体はそこから10日ほどで抗体がつきますので、そこから外に出せばよいわけです。
そして、1ヶ月後に2回目のワクチンを打てばより抗体価は高まります。(ブースター効果)
ではワクチンを跳ね返した子はどうなるのかというと、移行抗体価が強いということはそれらのウイルスに負けないということですから、問題なく外に出る事ができて社会化を促進できるのです。ですのでどの子も同様に1回目のワクチン接種後10日たてば社会化に明け暮れるべきなのです。
ただいくつか注意点があるのです。
それは移行抗体の強かった子は2回目のワクチン接種するまでの1ヶ月の間に移行抗体がきれてしまうと無防備になるということです。
勿論これははじめの1回目の接種前の犬にもいえることでどの犬にもすくなからずある時期です。
これをイミュニティギャップ(免疫の隙間)といいます。
もうひとつ、これは後でもふれますが、移行抗体もないしワクチンも効かない子がごく稀にいるということです(1〜2%)
こうした子は一生が無防備ですので生きていく事が困難になります。
当然ながらイミュニティギャップは短いほうが良いのですが、それを外見から知る術はありません。
そこで考えられる手段は2つに1つです。
ひとつはハイタイターローパセージワクチンを使う事です。
先にも触れたように力価の強いワクチンなので移行抗体があるうちでもそれを押しのけて抗体がつきます。
60日以前から1回目を接種できるため、例えば45日で接種すれば55日で外に出す事ができます。さらに2回目も3週間ほどで接種できるのでイミュニティギャップは極めて少なくてすみます。うまくやれば2回目を10 週齢で行って終了することができます。
これなら子犬の「早期社会化」を最大限安全に可能にすることができます。
ただしハイタイターローパセージワクチンは力価が強い分、副反応も出やすいのがリスクとしてあります。
しかし3回目を接種しないですむと考えればどうなのでしょうね?
とにかく個体として弱い場合、極端に小さい子などは利用できない場合もありますし、接種したら副反応がでたということもあります。
十分に信頼できる獣医と相談して接種することをお勧めします。
もう一つの手段は抗体検査をすることです。
一般的なワクチンを接種して10日後以降に抗体価検査を行って、どれくらい抗体がついているか。あるいは移行抗体があるのかどうかを知っておく事ができます。
それで抗体が十分にあれば外に出せますし、そうでなければ注意が必要となります。
また、ハイタイターローパセージワクチンにおいても2回接種後に抗体価検査を行ってみて十分抗体がついていればそれでフィニッシュ。
しかしそうでなければ3回目を接種して力価をあげればいいわけです。これなら余分なワクチンを接種しなくてすみますね。
こうして抗体を見える化するわけです。
抗体価検査については後で詳しく説明しますが、最近は獣医で直接できる検査キットをもっているところもあるのでかなり期待はできます。

成犬の場合

次に翌年からのワクチンはどうするの?1年に1回?成犬は?
これも世界小動物医師会の情報をベースにすすめていきます。
すべての犬は、子犬時のワクチンが完了してから12ヵ月後に1回目のワクチンを接種することが望ましいとしています。
このワクチンは子犬時のワクチンの力価をあげるブースター的な役割をもっていて、これによって子犬のワクチンプログラムが完成するとしています。
私もこれに賛成ですし、自分の犬達もそうしてきました。
この場合に接種するワクチンは子犬の時と同じものでよいですね。
その後の成犬のワクチンプログラムは日本では1年に1回としていますが、世界小動物医師会は3年以上あける事を要求しています。
これまでにも毎年ワクチンを接種すべきという主張を裏付ける科学的な根拠はありませんし、むしろ毎年接種することで犬達達は副反応の危険、アレルギーや様々な病気になる可能性があります。
しかしながらじゃあ何年あければいいのか?というと見た目ではわかりませんから、子犬の時と同じく、抗体価検査をすればよいのです。
毎年ワクチン接種するかわりに抗体価検査を行って、ちゃんと抗体があればワクチンは接種せず、翌年にまた抗体検査して・・・と続ければよいと思います。
抗体価検査の結果、抗体がかなり落ちているがまだ規定以内ということならば、1年は心配だから半年後に接種するとか、再度抗体価検査するというスケジュールで良いと思います。
例えは変ですが、車のバッテリーのようなものですね。
通常なら2年とか3年といった車検時の交換が目安ですが、1年点検の時にバッテリーが弱っているけどまだ使えますと言われたら、じゃあ来年交換でいこう・・・とか、かなり弱っていますといわれれば今交換しますとなりますね。
これは老犬でも同じです。
老犬は当然体力も免疫力も落ちているので感染すると発症率が高くなります。
抗体価検査を1年毎はもちろん、必要に応じて半年毎に行う等して抗体の確認をしてください。
できるならばワクチン接種はしたくないところですが、抗体がないならばワクチン接種は必要です。
可能であれば3種混合ワクチンで副反応のリスクを極力減らしたいですね。

抗体価検査(免疫抗体検査)

では次に、その抗体価検査とはどんなもので抗体価はどういう目安となるのでしょうか?
抗体価検査は血液を採取して行う生化学検査により一種類ごとに判定します。
つまり犬パルボウィルス感染症で一つ、犬パラインフルエンザで一つというふうになります。
価格はまちまちですが、概ね一種類3000円程度ですのでコアワクチン(感染すると重篤な症状になる可能性がある感染症に
対するワクチン)の3種類分とすると9000円前後となります。
さらにノンコアワクチン(種に野ネズミの糞や尿に含まれる細菌性の感染症を示し、タイプによって数種類に分けられる)として数種類がありますがこちらは細菌性のものであり、発症しても下痢や嘔吐程度でありまず重篤な状態にはならないので検査の必要はないでしょう。
私は犬ジステンパー、犬パルボウイルス、犬アデノウイルスの3つで良いのではと考えます。(不衛生な環境で生活していないのなら)
世界小動物医師会もコアワクチン以外のワクチン成分に対する抗体価検査に関しては、抗体持続期間が短かったり、抗体価と感染防御能の間に相関がないため、ほとんど価値がない。と言っています。まぁ事実上、コアワクチン以外はいらないっていっているようなものですね〜

さて、その結果の見方ですが、まずひとつひとつに対して陰性か陽性か判定されます。陽性であれば抗体があるということです。
つまり弱毒化したワクチンの効果を示したことになります。
陽性であればそれぞれに倍数で数値化されます。
犬ジステンパーウイルス(CDV)80〜640倍以上
犬パルボウイルス(CPV)20〜160倍以上
犬アデノウイルス(CAV)20〜160倍以上
犬パラインフルエンザ(CPIV):10倍以上
犬コロナウイルス(CCV):10倍以上
当然数値が高いほど抗体価は高いのですが、低いから(ローレスポンダー)ダメではないことは先に触れていますね。
ただ、怖いのはノーレスポンダー、つまり元々の免疫力もなくワクチンも効かない個体が稀にいるということです。
この場合はワクチンは何回接種しても効果はないし、免疫力も弱いため、様々な病気に感染しやすい状態が続きます。
とくに母体やその親が不健康な状態で繁殖された犬や、極端に小さな犬、あるいは見た目重視で意図的にまったく異なるタイプ同士で繁殖されたミックス犬等は注意が必要です。

抗体価検査はどこで?受けるのか

昨今、抗体価検査のニーズは日本でも高まりをみせています。
検査キットも販売されているため、検査ラボに出さずに院内で検査してすぐに結果をおしえてくれるところもあります。
まずは今行っている獣医さんで確認してみるといいですね。
で、ついでに料金も聞いてみましょう。
ホリスティック系の動物病院ならやっている可能性は高いでが、今でも絶対毎年1回っていっているところはダメかもですね。
空の木犬猫病院 東京都墨田区
アルマ動物病院 東京都世田谷区
ハナ動物病院 東京都杉並区 抗体が十分であればそれを証明する証明書も発行してくれます。
おくだ動物病院 横浜市緑区
まな動物病院 神奈川県藤沢市
いずみ犬と猫のクリニック
安田獣医科医院 東京都目黒区 ここはまさに世界小動物医師会のプログラムを推奨しています。
ベルベット動物病院 東京都世田谷区
斉藤動物病院 アウラに一番近い検査できる獣医ですが、残念ながらおすすめできません。
これらの動物病院以外にも日本全国の抗体価検査を実施している獣医師をグーグルマップにおさめた便利なサイトがあります。
グーグル犬用ワクチチェック実施病院

さて、ワクチンとプログラムについてわかったし、抗体価検査の必要性もわかり、どこで受ければいいかもわかりました。
でも、「ワクチンを接種していないと、今行っているドッグランもホテルも利用できないのですが」という声が聞こえてきそうです。
ここでもう一度大切なことを記しておきます。
ワクチンを接種することが大事なのではなく、ウイルスや細菌から守れる健康体が必要であるということ。
ワクチンはそのためのツールにすぎず、いくらワクチンを接種してもそのプログラムが間違っていれば逆に健康を害する事もあります。
利用する施設からすればワクチン接種証明書はわかりやすくて良いのかもしれませんが、それが健康を証明するものではないということも知っておかなくてはならないでしょう。
むしろ抗体価検査の結果、コアワクチンの抗体が十分あると証明された証書を提示するほうが間違いがありません。
ですので、抗体価検査をしたらその証明書も書いて頂き、それを利用する施設に提示すればよいということです。
もしそれでは利用できませんといわれたら、その施設はそれまでのところということです。
そんな危険な施設は使用しない方が安全と私は思います。

では最後に世界小動物医師会のプログラムに習ってオリジナルチャートを作りましたので参考にしてください。

より詳しく

ワクチンによって感染症の予防や重症化を抑えることができるのは、主にBリンパ球(B細胞)が関わっています。
B細胞は骨髄で生まれ骨髄内で未熟B細胞まで分化し、未熟B細胞は血液中に出てリンパ節や脾臓に移動します。
リンパ節や脾臓で未熟B細胞は成熟ナイーブB細胞となり、ウイルスなどの抗原に出会うとヘルパーT細胞に元気づけられて抗体を産生する抗体産生細胞やその抗原を記憶するメモリーB細胞(記憶細胞)に変化します。
ウイルスが体内に入ると貪食細胞(樹状細胞、マクロファージなど)がウイルスを食べ、ナイーブT細胞にウイルスの進入を伝えます。
ナイーブT細胞は1型ヘルパーT細胞になってサイトカインと呼ばれる物質を放出します。
サイトカインによってナイーブB細胞が増殖して抗体産生細胞になり、抗体を産生してウイルスに対抗すします。
一部はメモリーB細胞になり、抗原を記憶し、次に同じウイルスが体内に侵入してきたときにすぐに抗体を産生できるようにします。

ナイーブB細胞からできる抗体産生細胞は、あらゆる抗原に対抗できるようになっていますがその働きは弱いと言われています。
つまり、どんな犬でも感染する前からどんなウイルスに対する抗体を持っているのですが、力の弱い抗体であるために、免疫力がつく前に病気になることが多いのです。
一方、ウイルス感染後にできたメモリーB細胞(記憶細胞)から作られる抗体は働きが強いため、一度ウイルスに感染したらそのウイルスにはかからなく(かかりにくく)なるのです。

コアワクチン(生ワクチン)の場合には、感染力のない抗原を体内に強制的に入れるため、ウイルスに感染することなくメモリーB細胞に抗原が記憶されます。
そのため、ワクチンを打つことでウイルスの予防や重症化を防ぐことができると言われています。

ワクチンに頼るのもいいと思いますが、まずはウイルスに負けない体を作りたいものです。
対策としてお勧めなのは手作り食です。自然に取れるビタミンD、ビタミンCをとること。
外で元気に遊び紫外線を浴びること。
ビフィズス菌などの善玉菌を自然の食品から摂って腸内環境を整えることも大切です。
なによりストレスをためないことが一番ですね♪

コアワクチンで防げるウイルスについて 共立製薬のホームページより
国立感染症研究所
1. 狂犬病について
2. 狂犬病ワクチンについて
3. 海外に渡航する場合の注意事項
4. ワクチン接種ならびに流行状況に関するホームページ