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トリック遊び・シェーピング

台風が近づいていますね。記録的な大雨となっている地域にとっては厳しい時間となりそうです。
どうか備えてと願うばかりです。
で、安全のため本日のレッスンは全て中止としました。

さて、暑さと雨とでなかなか外に出れない日が多くて犬たちもストレスが溜まりがちですね。
こんな時は室内でトリック遊びが楽しいです。
犬のトリックといえば、お手おかわりとかスピンとかをイメージされるかもしれませんが、教え方さえ知っていれば相当難易度の高いトリックもできるようになります。
また頭を使うので犬はとても疲れますからストレス解消になります。
なんといっても良いコミュニケーションが生まれ、関係づくりに役立ちます。
もちろん詰め込み式、強制的では逆にストレスになりますから基本は楽しくすこしづつです。

トリックの大半はシェーピングでできている

シェーピング?????・・・ですよね。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ドッグトレーニングに限らず心理学を学んだり行動療法の必要な方へのアプローチとしては定番です。
シェーピング(反応形成・行動形成)は目標となる行動・トリックを小さなステップに分けて、簡単なものから伝えていく方法です。
ですので最初から完成形を教えることはありません。
すこしづつ完成形に近づけていくので時間がかかりそうですが、犬には「完成形がこれだよっ」て言葉で伝えることができませんからそのほうが近道であることの方が多いのです。
同様に障害のある方にも、イメージづけや概念を伝えるのが難しいためそうしたアプローチが望ましいのです。
それからシェーピングは報酬とつながっている必要があるため強制的にはなし得ません。この点でも私は相手に負担がないので好ましい方法と思います。
犬の場合の報酬の多くはトリートになりますね。
私もシェーピングするときはとてもたくさんのトリートを使います。
ただ、トリートはあくまでも現物としての報酬ですので、それだけに頼ってしまうとトリートがないとできないようになります。必ず心の報酬、つまり褒めることがくっついていないといけません・・・・というかそうでないと本当に単なる芸になってしまいます。

犬を伏せさせて待たせてその場から見えなくなるというトリック

なぁんだと思われがちですが、これも犬にとってはトリックとしての遊びです。
前述のように強制的ではなく、楽しく待っていることを伝えるのです。
この方法で学んだ犬は待つことが大好きです。
ではこの「犬を伏せさせて待たせてその場から見えなくなる」というトリック、行動をシェーピングで教えるときのステップは?

  • 犬と対面して犬が地面におしりをつけることを教える(おすわり)
  • 犬と対面しておすわりをした状態を数秒保つ
  • 犬と対面しておすわりをした状態を30秒まで伸ばす(その秒数はランダムであり、時に短くなることも必要)
  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れてすぐに犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて数秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から3歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から10歩から30歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る

まずはじっとしていることは楽しいし不安がないこと

この段階ではまだ犬は伏せてはいませんが、その場にとどまることの意味は理解しています。
そして必ず人は自分のところに戻ってきてほめてくれるしトリートも得られると学びます。
ですから不安がないわけです。
ただ、ここまでだと、まだ人の姿は見えていますし、目を合わせた状態です。次のステップは

  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて背を向けて数秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて背を向けて30秒待ってから犬の元に戻る

そうです、背をむけるということは、目があわないということですし、人は犬を見れないということを示します。
このことに不安を感じないようにすこしづつシェーピングしていきます。
次に

  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて背を向けてさらに10歩ほど離れて30秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から1歩離れて背を向けてさらに30歩ほど離れて30秒待ってから犬の元に戻る

となります。
犬の後ろに回ってみるというのも視線があわないので追加しても良いですね。
この状態にしっかりなれて、学習が成立していたら、今度は

  • 犬と対面しておすわりをした状態から数歩離れてドアやソファなどに1秒隠れてから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から数歩離れてドアやソファなどに3秒隠れてから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から数歩離れてドアやソファなどに30秒隠れてから犬の元に戻る
  • 犬と対面しておすわりをした状態から10歩から30歩離れてドアやソファなどに30秒隠れてから犬の元に戻る

ここまでできてようやく「待つ」という行動(トリック)が理解できます。
逆に言えばこれができていないと言うことは待つことの意味や楽しさが理解できていないということです。
もちろん強制的にねじ伏せる方法とは意味が違います。

おすわりを伏せに置き換える

あとは簡単です。今度は

  • 犬と対面しておすわりをしている犬の前肘とお腹を地面につけることを教える(伏せ)
  • 犬と対面して伏せをした状態を数秒保つ
  • 犬と対面して伏せをした状態を30秒まで伸ばす(その秒数はランダムであり、時に短くなることも必要)
  • 犬と対面して伏せをした状態から1歩離れてすぐに犬の元に戻る
  • 犬と対面して伏せをした状態から1歩離れて数秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面して伏せをした状態から1歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面して伏せをした状態から3歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る
  • 犬と対面して伏せをした状態から10歩から30歩離れて30秒待ってから犬の元に戻る

そうおすわりでやったことをトレースするのですが、もう道筋はできているので簡単です。
犬は、あぁいままでやってたやつの伏せバージョンだねってイメージしてくれます。
あとはまた時間や距離を延ばし、隠れることをやっていけば出来上がりです。
これと同様にいろいろなトリックはできています。
例えばウノが得意なスキップもシェーピングでできています。
犬がスキップで歩くってどうやって教えるのって思われるでしょうが、はじめのステップは

  • 犬と対面しておすわりをしている犬のどちらか一方の手を上に上げることを教える
    つまりお手ですね。
  • 犬と対面してお手の状態を1秒から10秒持続する
  • 犬と対面してお手の状態を1秒から10秒持続する間、支えになっている人間の手は外す
    つまりお手ではなく、単に手を上に上げたままの状態を保つ
  • 同様のことを逆の手でも教える(左右のあるものは必ずある程度の学習が進むまでは一方だけ教える)

この段階ではまだ空のお手とおかわりですが、この後

  • 犬と対面しておすわりをしている犬を立たせる(四肢を地面につけている)
  • 犬と対面して立った状態を数秒間保持する

これができるようになったら、最初に教えたお手おかわりを立ったままの状態でできるようにしていきます。
つまり座っていない犬のお手おかわりですね。しかも人の手の支えはありませんので、これを繰り返すと、ひとまずは前足を高く上げて動くことができるようになっています。
でもまだスキップになっていませんね。
スキップはスキップですから、トントンと飛び跳ねるように歩かないといけません。
まだまだシェーピングは続くのです。
シェーピングは根気がいるのですが、できると相当楽しいです。
で、ウノのスキップは対面で離れたところからもできるし、一緒に並んでもできるし、離れたところでウノだけ回転しながらもできます。
できれば遠隔でウノは私に背を向けて離れていく時もスキップで離れてくれると楽しいのですが、、、、まだそこには到達していません。たぶんシェーピングの組み立てが間違っているのです。
シェーピングは簡単なことから複雑なことまで教えられますが、複雑になればなるほど小さなステップをどう作っていくかを人間側がイメージしておく必要があります。

聞こえなくても見えなくても伝えられるのがシェーピング

うちのビンゴは耳がきこえませんでしたが、ウノ以上にさまざまなことができました。
だから世界に通じるドッグダンスができたのです。
でも私はいつも思います。別に世界一になりたくてダンスやっているのでも点数や順位のためにやっていいるのでもないんだと。だってビンゴは耳が聞こえなくてもあれだけのことを私と共有できたのです。
これって世界一以上でしょ!
これって金メダル以上じゃないかな?
これだけで十分幸せです・・・私もビンゴも、それを見る人たちもね。
今はウノとそれを組み立てていますが、ウノは耳が聞こえます。
でも耳が聞こえているか否か、それはあまり意味がないこともビンゴを通して知りました。
ビンゴに感謝です。
ウノとの楽しい時間、みなさんの犬との楽しい時間はそことつながっているのです。
よしっ、明日のグループレッスンはトリック遊びにしましょうね♪

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