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ボーダーコリーの問題行動

「ボーダーコリーの問題行動ってなんですか?」
と尋ねられたら
間違いなく真っ先に答えるのは
「ハーディング行動」です。
ボーダーコリーをはじめとした牧羊犬は、動いているものを追いかけて束ねようとする習性があり、これをハーディングといいます。 この習性から、散歩中に走っている車やバイク、自転車などを追いかけたり前に出て止めようとすることがあります。
当然ですが困るばかりか危険です。
この「ハーディング行動」は牧羊犬としての遺伝子に組み込まれているモーターパターン、つまり人間が必要とする様々な行動パターンを強化しながらブリーディングを繰り返し犬種を作り上げてきた意味のひとつが羊を追い立て束ねるというハーディング行動です。

ハーディング行動はどのボーダーコリーにもあるのか

この「ハーディング行動」はすべての牧羊犬、ボーダーコリーに強く出るわけではありません。
家庭向きのボーダーコリーのブリーダーはどちらかというと「ハーディング行動」を薄める努力をしていますし、牧場で生まれてくるボーダーコリーはむしろ「ハーディング行動」を強くして仕事になるようにしています。
そのどちらでもなくよくわからないのがペットショップやブリーダーサイトにたくさんいます。
私たちプロは子犬の行動を見ればすぐにその少し先の行動を読むことができますが、一般の方やプロ風の人はよくわかりません。
はじめのうちは、飼い主さんの歩く足元に噛み付いたり回り込んだりしているのですが、4ヶ月齢の社会化期の終わり頃になると怖いものを学び始め、このモーターパターンがいよいよ本格的になってきます。

いつころからどのようにして

社会化が遅れて、ワクチン3回接種して4ヶ月頃に外に出すと、動くものが近づいてくると伏せをして動かない・・・
じつはこれはその先にハーディング行動が潜んでいます。
ボーダーコリーには忍び足で羊などに近づく“スニーク”と呼ばれる動きがあります。
そのスニークになる前後が伏せた状態であることがよくあります。
そして動くものが近くに来ると、えいやっと飛びかかるのです。

もうこの頃には室内では既に人の足ばかりか、掃除機やクイックルワイパーなどを追いかけ始めます。
ひどくなると、水入れの波紋や空調・調理道具・ヘアドライヤーなどのファン、鏡や窓に反射する光、ヘッドライト、テレビの中に出てくるスポーツ中継や車、その他の動くもの、に反応します。
そして、動きだけでなく、そこに結びついている音や大きさや時間などと関連ついていき、動いていなくても反応するようになっていきます。
こうなるともう普通に生活はできていません。

いよいよこれは困ったとなるのが大抵5〜6ヶ月齢くらいです。
・・・・遅すぎますね。

行動が強くなると

さらに脳内ホルモンの働きが活性化されてくると中毒症状になり、その行動がやめられなくなってきます。
いわば気持ちいい状態になるため、力加減や見えているもの、聞こえていることが普通ではなくなってしまいます。
そうなると、噛みつきや吠えなどがきつくなり、一緒に暮らすこともできなくなってきます。

これは犬が凶暴なのではなく、本質的に持っていたモーターパターンのスイッチを押した結果なのです。

ただし、モーターパターンのスイッチが付いていない、あるいはついていても押しにくかったり、押してもあまり機能しない個体もあります。

うちのウノはまさにそれです。
モーターパターンのスイッチはついていますがそれほど大きくありません。
環境を整え、適切に社会化をし、5ヶ月になるまでに基礎トレーニングを行えば大ごとにはなりません。
それでもある特定の条件においてはモーターパターンのスイッチが入ります。
例えば、掃除機です。
しかし単なる掃除機ではありません。
うちの場合は、妻がかけている掃除機です。
私が掃除機をかけても反応しません。
ルンバにも反応しません。
つまり、ウノの場合は掃除機と人との関わりの中でスイッチが入るのです。
こうしたことはとてもよくあります。
事実、ハーディングの問題行動でレッスンをする場合、散歩を私がするとスイッチが入りにくくなるか、入りません。
同様のことは他のタイプの犬にも言えます。
猪突猛進に相手に拘らず向かっていくボストンテリアやフレンチブルドッグは当然嫌がられますし喧嘩の種を撒き散らしますが、それもモーターパターンのスイッチが入っているからです。
ですがそんな場合でも私がハンドリングするとスイッチは入りません。

学術的にも

C-BARQ科学的な側面から遺伝子分析と行動学的な調査と研究から、犬種ごとの行動特性の半分はモーターパターン、つまり遺伝的な要因という結果もあります。
しかしながらあとの半分は環境要因ですから、社会と人と犬との適切な関わりを適切な時期に与えれば、どんなにハーディング行動のスイッチが大きいボーダーコリーでもある程度安心して過ごすことができるということです。

ところが日本のドッグトレーニングの世界ではいまだに強制的、あるいは序列・支配的な訓練が罷り通り、一方ではすこし単純すぎるかもしれないほめてしつけるトレーニングに依存しています。
そうするとそのどちらにおいてもこれらの問題の解決はおろか、よりひどくなってしまうことも報告されています。

スタートを見直そう

まぁ、時間とコストと労力と・・・いろいろ考えるとコマーシャルでコンビニエンスで直接的なところから入手し、トレーニングし、幼稚園に入れて、獣医はここで薬もらって、、、、となるのき日本の社会の仕組みの一つですから仕方がないと言えばそれまでなのですが、、、、、まずは犬を迎える入口からはじめる、、、、タイムマシンはありませんからすでに迎えている方には申し訳ないのですが、ここにペットショップを通じて子犬として販売されている犬や商業繁殖施設で生まれた犬の行動的および心理的結果を示す研究データがあります。参考になれば幸いです。

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