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旅立つ

15歳と1日でビンゴの友達が旅立ちました。
この子はボーダーコリー
あの頃、私とビンゴはいまでいうドッグダンスの世界に入っていきました。
まだ犬とダンスを踊ることがメジャーではなく、そして女性達が犬と楽しむ世界でした。
そんな中で私とこの子の飼い主である彼の存在は異質中の異質・・・

男らしいダンス、楽しいダンス

ある競技会への参加が決まりました。
私はビンゴとのダンスに加えてペアでのダンスにエントリーしました。
私たちは何を踊ろうかと相談しました。

やっぱり男が踊るかっこいいのがいいよね

異口同音そこに行き着きました。
そして踊ったのがThe Blues Brothers – Jailhouse Rockです。
ご存知の方も多いと思いますが、ブルースブラザーズは黒づくめ、サングラス、ワル・・・はちゃめちゃ
凸凹な二人組が騒動をおこす映画です。
その中でソウル・ミュージックがたくさん使われていますが、Jailhouse Rockつまり監獄ロックもそのひとつ。
もとはエルビスプレスリーの代表作品ですね。

練習は1回だけ

曲が決まった途端に、すでに中身もほとんど決まっていました。
私も彼もすでにイメージが出来上がっていたので、パートの確認をしたらあとはオッケーそれでいこうと相槌をうちおしまい。
練習は各自でやっておいて、本番前に一度だけ一緒に練習しておしまい!
今思えば、かなりの冒険だが、まぁ彼は有名なカメラマンであり映画監督でもあるからクリエイティブな価値観はお互いに共有できていたからできたのかもしれない。

競技会当日

多少の不安もありながらも、とにかく楽しく男らしくぶちかまそうぜっ!!と中身はともかく映画と同じくはちゃめちゃに、でも決めるところはきっちり決めて踊りました。
終わると会場は破れんばかりの拍手拍手

ごきげんにも、私たちは特別な賞までいただきました・・・・どんな賞だったかわ忘れましたが・・・・

とにかく楽しかった
私とビンゴはスーダラ節へと向かっていくのだが、あのダンスも監獄ロックも私にとってはまったく同じ価値観だ。

ドッグダンスは、いまでは構成には何をどれだけ入れないとダメだとか、ポジションがどうだとか、遠隔でのコンテンツがどうだとか
いろいろとレギュレーションにしばられている・・・・
まぁそれはそれで競技性をたかめて技術を高めるには良いのだが、
はたして犬たちは楽しんでいるのか?
人だけが先に行ってはいまいか・・・・ちょっと心配な面もあって、私はダンスからすっかり遠ざかってしまった。

日常にこそ見えてくる関係

彼と彼の犬は本当に素晴らしい関係にあった。
ダンスやディスクもできたが、なにより素晴らしいのは日常にあったと思う。
震災の時、彼らは車に支援物資を積み込んで出掛けた。そしてそこで見聞きしたことをカメラに収め、本にして私たちにその現実をいち早く伝えてくれた。
私もまた、復興支援の支援金をあつめるためのフリースタイルファンマッチ(ドッグダンス)を開催した。


彼はアウラの生徒ではあったが、クリエイティブな彼にはとくに教えるものがないくらい、すぐに犬と接続ができていき、彼らしく、彼の犬らしい日常に取り込まれていきました。

ドッグトレーニングの意味

昨今、トレーニングの世界は理屈っぽくなったり説明的であったり、海外のなんとかだったり、資格であったりが大手を振って歩いているが、私や彼のトレーニングメソッドはそんなことは超越していて、むしろトレーニングなんて犬には必要ないと言いたいくらいだ・・・・それだと私は仕事がなくなるので言えないのだが・・・・
社会化も大切だし、犬友達を作ったり、整体や食事や体幹をきたえることも大事だが、最後に残るのは人と犬とのシンプルな日常なのだ・・・・そこにはそれら全ての背景はまったくもって役に立たない

・・・・・・・・・・・

彼と彼の犬と私とビンゴとたくさんの生徒さんたちとはたくさんの経験を共にして成長していった・・・・

あれから何年の歳月がたっただろうか

私のビンゴは旅立ち、当時の犬たちも老いて、やはり旅立ったりしているが、こうして振り返ると楽しいことしか思い浮かばない・・・それは今も変わらない。
いまの生徒さんたちと犬たちとの時間もあの時となんら変わらない。
ただコロナでイベント開催や参加などが難しいことをのぞけば、日常の楽しさ、幸せに向けたレッスンスタイルは同じ・・・まぁ進歩がないといえば進歩がない私ですが、変わらないでいることの良さもあるものです。

人間的には未熟なままの私ですので嫌いな人はきっとすごく嫌いなのかもしれませんが、それもまた喜びだったりする私です。

彼もまた、きっとそんな道を歩んでいるのだと思う。出る杭は打たれるのである。
そんな時、犬たちは私たちの強い味方であり、わかちあえる唯一無にの存在である。

旅立ち、姿がなくなるのはちょっと寂しい、いや相当寂しい、いやいや猛烈に寂しい

しかし、彼と彼の犬との関わりがあるならば、いつだってそばにいて、いつだって逢うことができるのです。

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